理事長基本方針

 

 海から拓けたまち八戸市は、多様な産業の拠点として発展してきた。さらに周辺町村に目を向けると四季折々で表情を変える美しい山々、そこから流れる大きな川が豊穣な大地を伝い、まばゆい太平洋に注ぐ。その多彩な自然から住み暮らす住民により豊かな食文化が育まれ、願いが込められた煌びやかな伝統文化がこの地域を彩る。これまで幾多の困難を乗り越え、住民が共に支え合いながら築いた地域コミュニティにより郷土愛が芽吹き、シビックプライドを育んできた。

 新型コロナウイルスによるパンデミックは社会構造の変化を加速させ、この素晴らしい地域を取り巻く環境も激変し、衰退の危機に見舞われている。一方、新しい日常への移行により多様な選択肢の中から生き方を決めることが可能となり、一人ひとりの個性に光が当たる時代を迎えている。

「まちは、そこに住む人の意識以上には良くならない」
「知ることは、即ち、愛すること」
1975年に誕生した「ラブはちのへ」の理念が、運動の根幹として我々に宿っている。

 いつの時代も、地域の未来を描くのは我々青年である。
なぜ青年会議所に青年が入会し、まちづくりを通じ活動を続けるのか。それは、まちを想う志とポジティブな思考を持つ仲間との協働により「たのしさ」が生まれるからである。そして、新たな出会いは自らが進むべき道を照らし、人は人で磨かれ輝きが際立っていく。相手を知り、受け入れようとすることは相手の放つ輝きの色に気付き、自分の輝きの色を知る視点となる。地域の課題に向き合う「主体性」と、多様な個性を認め合う「協調性」をもって、それぞれの個性が輝くカラフルな組織となり、共に支え合い同じ方向にたのしく歩む、強い組織でありたい。

 理想の社会に向け、失敗を恐れず一石投じる。それが必ず波紋を生み、広がっていく。あらゆるステークホルダーを想定し、パートナーシップにより大きな波を起こしていこう。
 外から受け入れ発展してきたこのまちがあるように、多様な個性や価値観を認め合う「愛であふれるまち、はちのへ」の実現に向け、カラフルな地域社会をデザインしよう。

【 組織の能力を引き出す内外に向けたブランディング 】

 八戸青年会議所の運営は、思いやりと徹底した規律ある行動を重んじ、我々の誇りとして受け継がれている。対内に向けたブランディングは、組織力を向上させ運動へのモチベーションを高める。会員一人ひとりの個性を発揮できる環境を創り、青年会議所の理念浸透を図ることで個性は調和され、組織力の強化となり運動のパフォーマンスは最大化する。そして、対外に向けたブランディングは、運動への共感を生み地域住民との懸け橋となる。広報戦略を立て、発信媒体の特性に合わせて効果的に、正しく、そして受け手の心に響くポジティブな発信が必要となる。内外に向けたブランディングにより組織の存在価値を高め内外にファンを増やし、パートナーと共にムーブメントの種を撒こう。

【 未来を輝かせる人財の拡大で組織と地域のアップデート 】

 八戸青年会議所は、1958年に発足してから63年間、毎年会員が役職を変えながらも未来を見据え発展し続けてきた。しかし近年、会員数は減少傾向にある。会員は未来のために行動する人財であり、会員の減少は地域発展の原動力の低下につながる。 厳しい時代だからこそ、地域を想う同志の輪を広げポジティブな変化をもたらさなければならない。組織で成長した個性溢れる会員が地域の未来や互いの成長に対する熱い想いを語れば、必ず人の心を動かすことができる。仲間を想うパッションをもって、ロジックで納得を生み、さらには共に未来に向かうパッションで青年をまちづくりの一歩へ導く。青年会議所運動そのものである会員拡大によって、組織に新たな価値観を取り入れ、成長した会員が社会で活躍するという好循環をもたらし、地域に多くの輝きを生み出そう。

【 一人ひとりの想いが 情熱と感動を生み出すおまつり 】

 八戸青年会議所のおまつり事業は、八戸三社大祭と共に歩み「ラブはちのへ」運動最大の発信の場として進化してきた。地域のおまつりは、住民の手で受け継がれ、作り手の情熱と観客の歓声が生み出す空間は多くの人を魅了する。お囃子の練習など、子どもから大人までが共に汗を流し、非日常を味わう本番に向け、地域が一体となる幸福な瞬間、それはまちづくりそのものである。しかし、地域のおまつりの多くは、2年間中止を選択せざるを得ない状況になったことを問題として抱えており、変化に対して、しなやかに適応することが課題となる。子どもから大人まで参加しやすく参加し続けたいと思えるおまつりの環境づくりは、作り手と観客 のシビックプライドを相互に育むきっかけとなり、のちに地域を元気にする活力となる。情熱と感動の連鎖を巻き起こし、煌びやかな地域の個性を輝かせよう。

【 自分らしく輝き、豊かな未来を創造する青少年の育成 】

 子どもたちは、未来を切り拓く地域の担い手である。人口減少による社会構造の変化や急激に進展するICT社会 、そして地域コミュニティの衰退が進む現代、これからの未来を創る今を生きる子どもたちは、誰も経験したことの無い激動の時代を迎えることとなる。先行き不透明な時代を生きる子どもたちには、正解のない問題に自分なりの答えを見出す力と、コミュニケーションの中で 考えを発信し認め合うことで高められる自己肯定感が必要とされる。大人が地域コミュニティで子どもたちを育成することの大切さを認識し、子どもたちは創造性豊かな人間力が磨かれることで、地域で生きる一人としての意識が芽生え、それが心の拠り所となる。地域全体でシビックプライドを育み、世界中のどこに居ても故郷を想い自分らしく輝く大人へと導こう。

【 周辺町村の人財と連携した地域ブランドの確立 】

 豊富な自然環境を活かした一次産業は、この地域を輝かせる個性を生み出しており、地域経済を支えている。一次産業の高齢化や担い手不足は著しく、気候変動の激化による問題の深刻化が懸念される一方、デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラルの提唱により、新境地の開拓が進められている。八戸市も周辺町村も行政の枠はあれども地域社会全体により産業および住民の生活圏として成り立っている。地域が一体となり発展していくためには各分野で活躍する人財との連携により、強みを活かし補い合う人と人とのつながりが不可欠となる。我々は、これまで築き上げたネットワークを駆使して地域社会をつなぐハブとなり、周辺町村のまちを想う人財と共に、多彩な魅力と活躍の場を最大限アピールする必要がある。ライフスタイルの多様化が進む今だからこそ、関係人口や定住人口の増加も見据え、イノベーションの宝庫である地域資源を活かし、誰もが活躍したくなる地域の未来を切り拓いていこう。

【 多文化共生による感性豊かな未来のまちづくり 】

 多様な人財が十分に能力を発揮できる環境づくりには、互いが個性を認め活かし合うことが鍵となる。近年労働者不足が叫ばれ、もはや外国人住民に頼らなければ地域経済が成り立たない状況になっている。この地域においても外国人住民は増加傾向にあり、今後も外国人住民が増え続けることが予想される。外国人住民に対する偏見や無関心といった問題を乗り越えて、共にまちをつくっていく仲間として受け入れ、地域が一体となり多文化共生のまちづくりをしていかなければならない。対等に想い合える関係づくりには、積極的なコミュニケーションの機会を持つことから、異なる文化を理解し、互いの価値観を受け入れ、共にまちを愛する仲間として相互理解・相互協力を進め、社会参加しやすい環境を目指す必要がある。ダイバーシティとインクルージョンで人間関 係の礎を築き、地域社会をより感性豊かで多彩なものに変えていこう。

【 結びに 】

 いつの時代も、我々は「ラブはちのへ」運動を邁進する。
 先輩方の不断の努力と功績により積み上げられてきた歴史ある組織とこのまち。単年度制の中で社会に与えるインパクトを持続させ「ラブはちのへ」運動の存在意義を磨き続けるためには、地域のニーズを捉える必要がある。まずは地域課題を調査し、住民の声に耳を傾け、歴史をヒントに未来を見据え、現代のこのまちを分析しよう。

 世の中が変わり始めている今だからこそ、一番変わらなければならないのは、我々自身である。誰もが「より良くなりたい」と望み、そのきっかけを探しているのではないだろうか。そうはいっても、潜在意識は現状維持が心地良く、過去の成功や現状の安定が、失敗をおそれる今を生み出してしまう。その心のブレーキは、自らだけでなく他者をも巻き込み、社会発展のブレーキへとつながる。成功の反対は失敗ではない。挑戦しないことである。「できるか、できないか」ではなく「やるか、やらないか」で未来が決まる。

・固定観念に時代を照らし
・仲間とたのしく理想を描き
・今ある社会と自らに、まずは一石投じよう

 自分が変われば、関わる人達も環境も変わる。そして環境が変われば地域も変わる。
 我々JAYCEEの力で社会を変えていけると、私は信じている。
 「まちのため、仲間のため」が原動力となり我々を突き動かす。

自分らしく、このまちらしくあるために。
個性が輝き、誰もが活躍したくなるカラフルな社会へ向けて。

自分づくりからまちづくりを始めよう。

《重点テーマ》

●誰もが活躍したくなるカラフルな社会に向けた運動の展開

《重点事業》

●全員で取り組む会員拡大
●情熱と感動の連鎖を巻き起こすおまつり事業の開催
●豊かな未来を創造する青少年育成事業の開催
●地域資源を活かした広域連携事業の開催
●多文化共生社会を推進する事業の開催