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Talking about Hachinohe vol.6 八戸市長小林眞氏

公益社団法人八戸青年会議所創立60周年記念対談

Talking about Hachinohe vol.6

海から拓けたまち八戸―。八戸に住み暮らす私たちは、古くから海からの恩恵を受け、長い歴史を刻んできた。八戸市は本年度、市制施行90周年の節目を迎え、新たなステージへと駆け上る。人口減少により地方衰退が叫ばれる一方で、八戸圏域は、連携中枢都市圏構想による近隣町村との協力関係構築、新幹線やフェリーなどのインフラを基盤とした新たな産業や暮らし方の提案など、「まち」として成長できる可能性を秘めている。中心街の路線価格の向上や、UIJ ターン者の増加など、好転換への兆しも見えている。Talking about Hachinohe最終回の今回は、八戸市長小林眞氏とともに、私たちが暮らす八戸について語り合いたい。

 

「八戸市制施行90周年を振り返って」

金入健雄理事長(以下、金入):まずは、八戸市制施行ということでお祝い申し上げます。私としては、90周年の中で、近年は特にほかの地域にはないようなまちづくりの進展を感じております。はっちやマチニワなどの施設整備はもちろんですが、スポーツ関係の事業やポートセールスなどさまざまなところが表に出てきているように思います。これまで、市長ご自身はどのような想いでまちづくりを進めてきたのでしょうか?

 

小林眞市長(以下、小林):そうですね。私たちが描いている未来像というものも八戸青年会議所様と同じ思いを持っていると感じます。八戸青年会議所は本年度60周年を迎え、2015年に全国大会を招致するなど、全国の青年会議所の中でも最も活動的な若者の集まりですね。卒業された方も含めて、たくさんの青年たちがまちづくりに突き進んできた。その成果が今の八戸の姿かなと思います。海の樹構想があるように、八戸は海に突き動かされた町。先人の皆様が、砂浜を埋め立てて港をつくり、90年間その理念とともに生きてきた。その結果が多様性につながっているのではないかと考えます。そうした地域固有のものを大事にしながら次の世代につなげていく使命がありますよね。

 

金入:本当に先人の皆様の行動には頭が下がります。私たちは、「ラブはちのへ」運動を標榜していますが、人が集まる場所としてはっちやマチニワができたことはうれしいことですね。何より、その場所を市民の皆さんがイベントなどさまざまな活動の拠点として使うことで、活躍できるスタイルをつくっている。単なるハコモノではなくて、人に焦点が当たっているなと感じています。それだけ、八戸の市民活動が活発だということにもつながりますよね。

 

「まちづくりとまちの変化」

小林:私たちも、そういう場所であってほしいと願っています。やはり、住んで豊かさを感じられるまちにしていくことが大事ですよね。そのためには、民間の事業主体者が力をつけながら継続的な発展につなげていく。そして、さらに、それより先に中心街に人を呼び戻して活性化していく。こうした循環の中で、市民主体のイベントや活動が行われ、市民の暮らしの豊かさにつながっていくと思います。商業地での路線価格向上にもつながっていますよね。これからの再開発も含めて、少しずつ集客につながり、暮らしの支えになっていけば。市民活動と一緒に、スポーツによるまちづくりも盛んになってきています。ヴァンラーレ八戸FCは私が市長に就任した翌年に設立されました。現在は日本プロサッカーリーグに加盟し、八戸の誇りでもあります。かつて、私が埼玉県浦和市(現さいたま市)の企画部長のときに浦和レッズがJリーグに加盟しました。老若男女問わずチームを応援し、市民が一体となる瞬間に何度も立ち会えたときにスポーツの持つ力を感じました。八戸でもそういうかたちがつくっていけると信じています。東北フリーブレイズについても、氷都八戸のポテンシャルを感じてもらえ、福島県郡山市に本社がありながら、ゼビオホールディングスさんに拠点として選んでいただけた。最近では3人制バスケットボール「3×3」のプロチーム、八戸DIMEも設立され、ますますスポーツに熱が入っている。まちの活性化にもつながるし、子供たちの憧れにもなり、プレイヤーの育成や競技レベルの向上にもつながりますよね。

 

金入:まちに良い変化が起きているのはうれしいことですよね。さらに、八戸だけでなく、生活圏である近隣町村や広域的にもメリットがあるかと。まずは、連携中枢都市圏として、近隣町村との協力関係も強固になりましたね。私たちも広域連携事業を行っていますが、やはり圏域として、まだまだ潜在的に発展できる可能性を秘めているのでそうしたものも発信していきたいと考えています。さらに、苫小牧市・八戸市交流連携協定を結んだことで、フェリーでつながっている苫小牧市との関係もさらに強固になると思っています。私たち八戸青年会議所も1979年からアイスホッケーで苫小牧青年会議所さんと交流を深めていることもあり非常にうれしいことですね。

 

小林:そういう意味でも八戸圏域というのは大きく伸びる余地があると思います。基盤整備は暮らしや産業の要ですので、新幹線や港を活用することはもちろん大事です。はちとま(八戸と苫小牧)の物流は青函の6割ほどまで伸びてきている。トラックで八戸まで来て、船で北海道へ物資を運ぶ。こうした流れが今後も加速できるようにつながりをつくっていかなければならないと考えています。また、八戸市は連携中枢都市としての役割も重要ですね。現在は、ドクターヘリやドクターカーの運用、職員の合同研修など協力し合っていますが、圏域として自治力をつけて、協同で地域課題解決にあたっていく必要があると思います。

 

 

「人づくりと八戸」

金入:現状で感じている課題などはありますか?

 

小林:そうですね。少子高齢化の中で、行政の役割が幅広くなっています。もっともっと細かいところまで目を向けられるようになりたいですね。同じ八戸市内でも人が減っているエリアもある。買い物が困難となっていたり、公共交通が不便となっているところもあります。個別の課題に向き合いながら、確実に対応していかなければ住民の豊かさを確保できませんね。派手なことではなく、地道な支援をしていかなければなりません。一方で、明るい話題もあります。UIJターン者が増えていることです。県内でも八戸はトップクラスの伸び率を誇ります。移住や定住の相談件数も増えており、さまざまな取り組みにチャレンジしている私たちとしても励みになっていますね。

 

金入:コミュニティが強くなっていくことは、八戸に住む私たちにとってもありがたいことですね。私たち八戸青年会議所として多くの人に八戸を好きになってもらえるよう、しっかり活動していかなければと引き締まる思いです。本年は、「市民の誇りとなる八戸スタンダードを発信する運動の展開」をテーマに活動をしていますが、変わらずに残っている八戸の文化や景観、住み暮らす人たちの暮らしの楽しみ方など、大事にしていきたいと考えています。

 

小林:そうですね。私もまちを見ていて、市民の皆さんが自分のまちに自信を持ち始めてきているなと感じています。昔は、「八戸は何もないんだよ」ってよく聞いていたが、最近だと「あそこは面白いよね。こんな場所があるよ」と説明できるようになってきている。たくさんの市民がまちを誇りに思い、宝探しをしている証拠ではないでしょうか。そうした積み重ねであり、集大成が‘スタンダード’になっている気がします。八戸の人の心根につながるところでしょうか。よく言われる、「八戸の人は素直で純朴、控えめですよね」という性格的なところもあるんでしょうが、素直に自分たちの住む場所を好きになってくれている。

 

金入:本当にその通りですね。全国各地で地域ごとの文化はあるのでしょうが、八戸を愛する人が増えて、八戸らしさというものが大切にされていくのはとても大事なことですよね。私たちも創立60周年に際して「愛であふれるまち、はちのへ」という未来ビジョンを掲げさせていただきました。人と人とのつながりから、人の心を動かす。尊いまちの個性から、まちへの愛を育む。多様な価値観を受け入れ、人の可能性を引き出す。私たちが誰よりもまちを愛する。という4つの指針の下、今後の運動を展開していくわけですが、ラブはちのへ運動を基盤として、時代が変わっていくなかで、このまちにしかないものを大事にしていきたいと考えています。

 

小林:本当に素晴らしいビジョンだと思います。やはり、社会の中で人を思いやって愛情にあふれる人を育てていかなければならないですね。人間社会の気持ちの基本ですから。親子関係もそうですし、子供を育てる上でも大事です。特にこれからは若者を含めて子供たちも宝ですから。そして、私たちも愛を持って、若者がチャレンジできる環境をつくっていきたいですね。人口減少をどうするかであるとか、インフラ整備をどうするかであるとか、もちろん大事なことではあるのですが、住んでいる人たちが課題に対してチャレンジしたり、まちづくりにチャレンジしたりできる環境づくりを進めたいですね。しっかりと応援していく必要があると思います。

 

 

  • 八戸青年会議所とは

八戸市近郊に在住する20歳から40歳までの青年経済人の集まりで「奉仕」「修練」「友情」を活動の基本として「明るい豊かな社会の実現」を目指し、八戸のまちに住み暮らす人々や子どもたちの笑顔のために活動を続けている団体。今年で創立60周年を迎え、現在で約130名の現役会員を擁する。

  • 小林眞(こばやしまこと)

青森県八戸市出身。青森県八戸市長。八戸圏域水道企業団企業長。1975年に青森県庁に入庁、1979年に改めて自治省に入省。1991年から埼玉県浦和市企画部長を務められ、浦和・大宮・与野3市の合併に伴うさいたま市の政令指定都市への格上げを推進される。1997年に自治省に復職。2005年に郷土を憂い、総務省を退職し八戸市へ戻る。現在、4期目の八戸市長を務められている。

  • 金入健雄(かねいりたけお)

青森県八戸市出身。第63代公益社団法人八戸青年会議所理事長。今年度は公益社団法人八戸青年会議所理事長として「新しさの港から未来へ~市民の誇りとなる八戸スタンダードの発信~」をスローガンにまちづくり運動を展開中。

 

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